同業の漫画家や
担当の編集者が、
惜しみなく絵の描きかたや
作品改善のヒントをくれます。
Vanillaさん
インドネシア共和国
出身
with the
artists
with the artists
同業の漫画家や
担当の編集者が、
惜しみなく絵の描きかたや
作品改善のヒントをくれます。
インドネシア共和国
出身
私たちは姉妹二人で漫画制作を分業する、バニラという名前のユニットです。私たちにとって、すぐれた漫画がたくさん生まれる日本で仕事ができるのは夢でした。制作実務を通して、よい作品を描くためのノウハウを得られることは、なによりもうれしいことです。コアミックスからの招聘という来日の機会を、家族や友人も一緒に喜んでくれていて、招いていただいたことを光栄に思っています。日本に来る前は、作品を描き、同人誌に発表していました。
好きな日本の漫画は、『夏目友人帳』です。日本の漫画は、絵柄もストーリーの流れもよくて、読み始めると没頭できます。物としても品質が高いと感じるため、紙のコミックスで読むことが好きです。
熊本の阿蘇は、山や緑に囲まれた美しい場所。その景色はすばらしいです。ここで毎日を過ごしていると、作品のアイディアがふと浮かんでくることがあります。
また、私たちの出身地であるインドネシアの首都ジャカルタからは、アクセスがよいため、熊本に来るにあたって体力的・精神的な負担を感じることはありませんでした。
必要なときに手を差し伸べてもらえる、すばらしい仕事場です。同業のみなさんは、同じインドネシア出身のTatiさんを始め、聞くと惜しみなく絵の描きかたのコツを教えてくれます。また、編集者が作品に対する感想を最初の読者として言ってくれるので、腕を磨くのによい場所です。
生活環境は快適です。住居棟は1棟あたり6部屋あり、ルームメイトに日本人の先輩漫画家がいます。彼女たちはとても親切で、日本語の勉強を手伝ってくれています。ときにはその制作過程を見ることができるため、驚きのあまり、思わず「先生!」と口にしてしまうこともあります(笑)。
それと、ここの食堂で出る食事はとてもおいしいです。いつもランチタイムが楽しみです。
締切にもよりますが、昼食と夕食を除き、1日8時間は漫画を描いています。施設内には気分転換に遊べる場所もありますので、集中して仕事をしたら、しっかり休憩するようにしています。
プロの漫画家としてデビューすることです。そして、よい作品を描き続けたいです。それは私たちが子どもの頃から、ずっと夢に描いてきたことです。二人のチームであることを活かして、足りないところを補い合いながら、長く活動できたらと思います。
よい漫画をつくることを目標に、おたがいがんばりましょう。そして、サイレントマンガオーディションに応募するのを忘れないでくださいね。アーティストビレッジへの扉を開くための第一歩が、あなたが描いた作品をサイレントマンガオーディションに投稿することです。
「第4回 世界サイレントマンガオーディション 特別ラウンド」優秀賞を受賞した、Vanillaさんの作品『小さなヒーロー』はこちら
編集者も漫画家も
すぐそばに住んでいるので、
コミュニティーの一員になった
安心感があります。
フィンランド共和国
出身
私が来日を決めた最大の理由は、私の創作活動を支援してくれる編集者や、漫画を描いている同業者たちとの距離を縮めるためでした。遠く離れていても、インターネットを介した漫画づくりが可能ですが、私はおたがいの顔が見える環境で仕事がしたいと思っていました。
実際にアーティストビレッジに来てみたところ、自国のフィンランドにいたときよりもはるかに多くのことを学び、理解することができています。
また、異国に住んで新しい文化を知ることは、とてもエキサイティングなことだと思いますし、そういう特別な経験をすることは、私の人生を豊かにすることだと思ったからです。そのためコアミックスからの招聘を受けることに、迷いはありませんでした。家族にその話をしたら、少し心配されましたが、行く機会をもらえたことをとても喜んでくれました。家族は私をずっと応援してくれています。
それと、私は語学に強い興味があるため、以前から日本語を学びたいと思っていました。ここでは日本語が毎日使われていますし、ネイティブスピーカーと直接やりとりできるので、学習環境としては最適だと考えました。これまで4つの言語を学びましたが、日本語は他の言語と文法が異なる特殊な言語ですし、なにより「部首」が興味深いです。パズルの組み合わせで言葉が生まれる印象を受けます。
今まで見たことのない景色や自然が広がり、とても美しいところだと思います。フィンランドは平坦な国なので、阿蘇で毎日地平線上に山が見えると、新鮮で幸せな気持ちになります。
私が来日したとき、阿蘇は美しい冬景色でした。春や夏にはどんな風景を眺められるのか楽しみです。ちなみに、冬のフィンランドは阿蘇よりも気温が低いです。
また、阿蘇の人々は穏やかでフレンドリーな印象です。年配の方が近づいてきておしゃべりを始めるたびに、とても楽しい気持ちになります。
ここは漫画制作に適した環境が整っていると思います。とても静かな場所にあるので、誰にもじゃまされずに仕事ができます。PC、タブレット、紙、ペン、大量の漫画単行本など、漫画を描くのに必要なものはすべて揃っているので、ここに来れば創作に専念できます。
それと、施設内の住居棟や寮など、編集者や同業の漫画家がみんな近くに住んでいるので、コミュニティーの一員になった気がして、安心感があります。
食事は、フィンランドと食材があまり変わらないため、私には合っています。鍋料理は自国にないので、楽しんで食べています。それと、さまざまな料理を盛り合わせた日本の“お弁当”は、とても興味深いです。
朝は8時くらいに起きます。仕事を始める前に、周辺の公園や森を散歩することもあります。始業は10時からですが、仕事の性質上、時間はあまり厳密ではありません。隣の席の人や編集者との距離も近いので、困ったことがあっても相談しやすい環境です。
昼食を挟み、仕事は18時くらいに終わります。夕食後はアーティストビレッジ内の映画館で映画を見たり、買い物に行ったり、ボードゲームをしたりと、入居している他の漫画家と一緒に行動することが多いです。住居棟の自室で過ごすよりも、雰囲気のあるアーティストビレッジ内で過ごすほうが好きです。無料で提供されているコーヒーや紅茶にも愛着が湧いてきました(笑)。
何よりもまず、漫画づくりのすべてを学びたいと思っています。少しでも多くのことを学び、制作できるようになることが私の目標です。描き手としての漫画のおもしろさは、比較的少人数かつ短時間で制作できること、独特で個性的なストーリーを描けることだと思います。
ほかには、熊本のいろいろな場所を見たり、ここでしかできない体験をしたりと、できるだけ時間を有効に使いたいと思っています。
アーティストビレッジのような場所は、きわめて希少だと思います。新しい国に移り住み、言葉の壁にぶつかるのは大変ですが、しばらくここに滞在してさまざまなプロジェクトに参加し、日本の生活や文化を肌で感じることは、あなたにとって価値のある体験だと思います。
ほかには、現金や通帳の使い方など、それぞれの出身国とはルールが異なるものもあります。けれども、くわしい人がすぐ近くにいるので、私もそうですが、比較的スムーズに適応できると思います。
「第7回 コアミックス九州国際まんが賞」優秀賞を受賞した、
Enewaldさんの作品『魂のカケラ』はこちら
試し読みhttps://smacmag.net/v/kyushu_international_manga_award_7th/fragments_of_the_soul_by_enewald/#0
美しい自然に囲まれた
高森での日常から、
キャラクターの
アイディアが
浮かぶことがあります。
インドネシア共和国
出身
日本の漫画についてもっと知り、学び、漫画家としての生活や経験を積みたいと考えたことが、来日したいちばんの理由です。
日本に来る前は、母国の専門学校で美術教師として働きつつ、終業後や休みの日にフリーランスで漫画の仕事をしていました。私の母国のインドネシアでは、漫画制作は原作と絵を分業するのが一般的です。そのため私も、DSスタジオという名の2人組のチームを組み、絵を担当していました。
コアミックスの招聘を受けて、来日を決断した私を、うれしいことに家族は応援してくれています。妹は日本のアニメが大好きです。兄は絵を描くこと好きで、それを見て育ったことが私が漫画を描くきっかけでした。
インドネシアでは、日本は清潔で規律正しい国だと思われています。来日して、熊本で暮らしながらそれを実感しています。
また、漫画やゲーム、アニメなどのエンターテインメントがたくさんあり、文化も豊か。ホラー物が大好きな私には、日本の妖怪はとても興味深いです。
私の出身地であるインドネシアの首都ジャカルタは、スモッグに悩まされるほどの大都会です。
一方、熊本の高森は、ジャカルタではめったに見られない、緑がいっぱいの環境です。美しい自然に囲まれたここでの日常から、キャラクターのアイディアが浮かんでくることがあります。
ここでの食事は、魚料理がおいしくて好きです。ほかにも、鶏肉のから揚げが好物です。タバスコが少し足りないかなと思うことはありますが(笑)。
私は一日中、ここで絵を描いています。絵を描く以外には、ボードゲームをしたり、散歩をしたり、漫画家の友人たちと野球をしたり、ゲームをしたり、買い物に行ったりしています。もちろん睡眠もしっかりとっています。
ここには編集スタッフがいて、家族的なコミュニティがあるので、私にとっては暮らしやすさにつながる安心感があります。
心温まる物語をつくり、描くこと。そのことを通して人間的にも成長できたらと思います。
"Dream as if you will live forever, Live as if you will die today “(”永遠に生きるつもりで夢を抱け。今日死ぬつもりで生きろ”)という言葉を贈ります。ここに来るか来ないかで迷うなら、まずは来てみるのがよいと思います。いまの自分にできる最善を尽くしましょう。
呉工業のテレビCMの原作となったTatiさん(DS Studio名義)の作品
※「未来の君たちへ」と題したアニメーション3部作の1作目「自転車篇」
漫画づくりに専念できる。
仕事にできる。
そのことが、
なによりうれしいです。
ロシア連邦
出身
漫画を描くことを仕事にできる、大きなチャンスだと思ったからです。私の母国ロシアでは、漫画を読む若い人は増えていますが、漫画を描くことを専業にできるほどの市場はまだありません。漫画を趣味で終わらせたくなかった私にとって、コアミックスからの日本へのお誘いはまたとない機会でした。
一方で、日本に拠点を移すことには、不安もありました。自国から遠く離れていますし、私は日本語で日常会話ができません。家族に日本へ行く意思を伝えたところ、驚きを隠せない様子でした。日本の漫画賞「サイレントマンガオーディション」に私が応募し、よい評価をいただいていることは家族も知っていましたが、運営元の日本企業からの招聘を受けて、移住を決断するとは思っていなかったようです。私の家族は日本のことをよく知りませんし、ロシアではまだ漫画家が職業として確立されていないため、日本での私の仕事をイメージしづらかったからかもしれません。
しかし、最終的には私の決意が固いと知り、その意志を尊重してくれました。
自然が豊かで、すばらしいと感じます。特に広大な星空は、作品に描きたいと思った心ひかれる風景です。ほかにも、大観峰の眺めのよさは感激しました。
また、休みの日に編集スタッフが車で案内してくれた宮崎県の高千穂峡も、神秘的で忘れられない場所です。
ここでは漫画に専念できることが、なによりもうれしいです。自国では別の仕事をしながら漫画を描く生活でした。通勤や、日用品の買い物にかかる時間も惜しいと感じていました。また、熊本の高森町は都市部のような騒音もなく、静かなので、ストーリーを考えたり、絵を描いたりすることに集中できます。
住居棟は日常生活に必要な設備は整っているので、暮らしやすいです。料理上手なスタッフが作ってくれる食事もおいしいですし、なにより料理をすることや食材の買い物に時間をかけずに済むことの恩恵を感じています。
朝は8時頃に起きて、10時からアトリエで仕事を始めます。昼食をはさんで18時半まで漫画を制作しています。夕食後も仕事をしたい気分のときは、続きをすることがあります。夜は住居棟でテレビやイラストを見たり、読書をしたりすることが多いです。
自作の連載、あるいは単行本化などのかたちで結果を出すことです。
私がそうだったように、怖がらず、これはチャンスだととらえることで、あなたのキャリアを前に進めることができるはずです。
また、編集スタッフとは英語で会話できますし、毎週日本語の授業も受けられるので、言葉の面での心配はしなくても大丈夫だと思います。
『ブラック・テラー』
『ブラッディ・シュガーは夜わらう』
の三堂マツリ先生が原作を手がけ、
Sideburn004さんが絵を描いた読切
漫画家を志す仲間とともに
過ごす環境が、
私の成長の
糧になっています。
インドネシア共和国
出身
私は2015年から、コアミックスが運営する「サイレントマンガオーデション コミュニティー(SMAC)」のマスタークラスに参加しています。1年前に日本へのお招きを受け、日本で漫画家として活動することになりました。
インドネシアでは、10年ほど前からすぐれた漫画が多く出てくるようになったと感じています。けれども、まだ漫画家の仕事が成立するほどメジャーなものではないため、コアミックスの招聘を受け、日本で漫画家として活動できればと思いました。
私の決断を家族は喜んでくれましたし、来日前からずっと応援してくれている友人たちもこころよく送り出してくれました。
日本は漫画文化だけでなく、各地の美しい自然、人々の親切さ、公共交通機関の整備などの点で、私がいつも関心をもっている国の一つです。
私は自国にいた頃は、どちらかというと都会での暮らしを好んでいましたが、熊本の阿蘇に来て住み始めたことで、田舎での穏やかな暮らしのよさを知りました。
出身国のインドネシアでは、にぎやかな地域に住んでいたため、漫画の仕事に集中できないことが少なくなかったのですが、静かなアーティストビレッジでは以前よりも仕事に集中できるようになりました。
また、漫画家を志す仲間とともに過ごす環境は、刺激を受けやすく、私にとって新たな気づきや成長の糧になっています。
食事については、アーティストビレッジ内で提供される食事はいつもおいしくて健康的なので、毎日楽しみにしています。
アーティストビレッジの周りには美しい景色が広がっていて、創作につながるアイディアやインスピレーションを受けるのに適した場所です。たとえば、阿蘇の大観峰の壮大な眺めや根子岳の形は、これまで見たことのない風景でした。雪を見たことも、初めての体験です。
起床時間は決めていませんが、だいたい9時前に起きています。時間があるときは、仕事に行く前に運動をしています。仕事が終わるのはだいたい19時で、終わってから他のメンバーと一緒にアーティストビレジの試写室で映画を観たり、ボードゲームをしたりすることもあります。週末はゲームをしたり、近くのスーパーマーケットで買い物をしたりして過ごしています。
コアミックスの漫画雑誌「コミックゼノン」に自分の作品を掲載する、という目標があります。読んだ人が、物語やキャラクターに私が注いだ愛情を感じ取ってもらえる作品を描きたいですね。
また、日本には漫画作品がたくさんあるので、日本語をもっと理解して、おもしろい作品を発見したいです。漫画にはさまざまなスタイル、形態、ジャンルがあるので、それらを探求するのはいつも楽しいことです。セリフに頼るのではなく、ビジュアルがストーリーを語る一番のキーポイントになっていることが、日本の漫画の好きなところです。
漫画をつくるシステム、考え方、手順が、あなたが住んでいる国のものとは異なるかもしれません。そのことは意識しておいてください。日本では、漫画家に寄り添い、親身に作品へのアドバイスをしてくれる編集者の存在が大きいと感じています。
あとは、寒暖差のある阿蘇での暮らしに備えつつ、アーティストビレッジに入居し活動することを心待ちにしていただければと思います。
コアミックスが主催する「一点突破漫画賞」第8回で
入賞したMAGEさんの作品はこちら
試し読みhttps://smacmag.net/v/ittentoppa8/island-of-gods-by-mage/
日本で、プロの漫画家として
仕事をするために必要なこと。
編集者との対話や
描くことを通じて、
それが学べます。
オーストラリア
出身
こんなチャンスはめったにないと思ったこと、そしておもしろいと感じたことが理由です。海外で、日本で仕事ができるなんて、まして漫画を描くことを職業にできるなんて思ってもみなかったことでした。友人や家族も、私が日本で活動することを喜んでくれ、応援してくれました。
子どもの頃から日本の漫画が好きで、読んでいました。その特徴は、表現の幅が広いことだと思います。明るいギャグに終始するものもあれば、強烈に暗いシリアスなものもある。さらには、そのグラデーションの中に、さまざまな作品がひしめきあっています。それらに共通しているのは、総じて読みやすく、読者が作品世界に入っていきやすい工夫がされていること。だからこそ、日本の漫画は世界的に人気が出たのだと思います。
いまいちばん好きな日本の漫画は『チェンソーマン』です。ただし、ほかにも『おやすみプンプン』『よつばと!』『ベルセルク』『ドロヘドロ』『女子攻兵』『東京喰種トーキョーグール』など、挙げればきりがないほど好きな作品はあります。
景色の美しい場所です。神社や寺院で見られる古い建造物から、街の中のかわいいカフェ、四季ごとの風景まで、すべてが美しいです。私が日本に着いたときは、ちょうど桜の季節で、現実味がないくらいきれいでした。
一方、阿蘇は現金払いのお店が多いため、母国ではクレジットカード払いが一般的だった私には、その慣習に最初はなじめませんでした。ホットチョコレート1杯を買うのに5分もかかる、そんな私のようにならないよう、買い物はスタッフに相談することをおすすめします(笑)。
漫画を描くにはとてもよい場所だと思います。制作する環境としても、デジタルと手描きの両方ができる設備がそろっていますし、作業机やアトリエの雰囲気など、空間そのものが漫画を描くのに適しています。集中したりリラックスしたりと、自由に切り替えができます。
また、同じ目的を持った他国のアーティストと一緒に仕事ができるのもうれしいですね。漫画を描く仕事には孤独なイメージがありましたが、同業者が近くにいることで、仕事面でかなりサポートし合えます。冗談を言い合って気分転換することもできます。
そして、施設にいるスタッフは思いやりがあり、とても柔軟です。疎外感をおぼえたことはありません。
アーティストビレッジは食事も充実しています。食堂にいる料理人はすばらしく、毎日の食事はいつもおいしいです。寿司、鶏肉の唐揚げ、ラーメンが私は好きです。ほとんどの場合、自分で盛り付けを決めることができるので、予想以上に体重が増えました(笑)。
朝は8時ごろに起床し、住居棟の自室で朝食をとり、出勤の準備をします。時間が許すかぎり、小説を読んだり、聖書の勉強をしたりします。
出勤は10時頃です。私は一日中、施設2階のアトリエで仕事をしています。昼食は12時30分頃、夕食は18時30分頃。その間は机に向かって絵を描いたり、文章を書いたり、時には仕事場に隣接した会議室で編集者と打ち合わせをしたりします。
夕食後、19時過ぎくらいから、比較的自由に行動します。まだ仕事が残っている場合は、続きをします。それ以外のときは、他のアーティストとボードゲームをしたり、試写室で映画を見たり、家でエクササイズをしたり、買い物に行ったりします。
夜遅くには、大切な人に電話し、長めに会話をしています。
また、休日にはゲームをして遊んだり、施設内にあるピアノを弾いたり、仕事をする日とは別のことをして過ごすことが多いです。
漫画家としてのスキルアップのほかに、連載を経験したいです。私は、作家として自分が描きたいことを追求するか、売れて多くの人に読まれるものをめざすか、いつも葛藤しています。しかし、編集者との対話を重ねるうち、その2つは両立できるのではと考えるようになりました。来日し、この環境で漫画を描くことができる以上、商業的な成功をめざした努力も続けていければと思っています。
あなたの人生のタイミングが合えば、ぜひおすすめします。漫画制作を職業とすることに興味があるなら、またとない貴重な機会です。ここにいるスタッフのみなさんは、私たちを歓迎し、惜しみなくサポートしてくれます。彼らと一緒に仕事ができるのは本当に幸せなことです。
「第25回 コミックゼノン漫画大賞」で準入選した、
monotone_inkさんの作品『ペトロフスキーの魔女』はこちら
すぐそばに編集者が
いてくれるから安心。
相談も打ち合わせも
格段にしやすくなりました。
アメリカ合衆国
出身
日本は、漫画を描くことを仕事にするための仕組みが整っているため、ここに来れば職業漫画家として活動できるかもしれないと思ったからです。昨年コアミックスから日本へのお誘いを受けたとき、またとない機会と感じました。
私は子どもの頃から漫画を描くことに強い関心をもっていましたが、アメリカではそれを仕事とすることの難しさをいつも感じていました。一部のアメリカンコミック好きな人たちからは漫画家は尊重されていますが、一般的には職業漫画家の地位や活動の余地は、まだ確立されていないからです。
都会を離れて暮らすのは初めての経験です。でも、アメリカではどんなお店に行くにも車が必要だったので、移動面ではあまり違和感はありません。
私が好きなのは、アーティストビレッジ周辺のいろとりどりの風景です。青い空、山、草原がいつも自分を取り囲んでいます。特に高森町は、何とも言えないオーラがあると感じています。ほかにも、水道水は主に新鮮な地下水であることなど、実生活の面でも自然との一体感を感じることができます。
来日前との大きな違いは、漫画制作の打ち合わせが格段にしやすくなったことです。アメリカにいた頃、オンラインでやりとりしていたときにはよくわからなかったことも、ここで顔を合わせて話し合っているとすぐに理解できることが少なくありません。それに、編集者がすぐそばにいてくれるから、相談しやすいですし、心強いです。
また、私は自分の部屋で、一人で絵を描くのが好きだったため、他の人がいるアトリエで作業するのは苦手意識がありました。しかし、来日して他のアーティストがともにいる空間で仕事をしてみたところ、一人だけでするよりもやる気や持続力が高まることがわかりました。私はこういった環境で漫画を描くほうが好きなのだ、と気づくことができたのです。
生活面では、住居棟と施設がすぐそばにあるにもかかわらず、プライベートな部分に干渉されることがないため、ワークライフバランスが取れることにも驚きました。
そして、料理が苦手で、栄養もおいしさも損ないがちな私にとって、食堂は間違いなくアーティストビレッジの中で一番便利な施設です。メニューも豊富でうれしいです。
10時半ごろに2階のアートルームに着いて、18時半ごろに仕事を切り上げます。もっと長く働く日もありますが、好きな漫画のことなので、負担を感じたことはありません。休みには、運動したり、近場に遊びに出かけてみたりしています。
また、映画が好きなので、毎週必ずアーティストビレッジ内の試写室で映画を観ています。
コアミックスでシリーズ化される作品を出したいです。いまここにいられる機会を最大限に生かして、創作に集中できればと思っています。
もしあなたにドアが開かれていて、それを受け入れるだけのスペースがあなたの人生にあるのなら、雑念を排して自分の心に従い、実行してみることが大事だと思います。
「サイレントマンガオーディション」第2回準グランプリを獲得した、
yoonmiさんの作品『Forward』はこちら
コアミックスが主催する「一点突破漫画賞」第6回で、
努力賞と特別審査員賞に輝いた作品『ボンヤリ、アイマイ。』はこちら
なによりもすばらしいのは、
自分とは異なる経験や
背景を持つアーティストと
一緒に過ごせることです。
ブラジル連邦共和国
出身
よい漫画づくりに欠かせない、ストーリーテリングの技術を向上させたいからです。日本の漫画市場で、編集者にサポートされながら制作することで、それが実現できると考えました。
それと、来日し、私の出身国ブラジルと異なる文化圏で生まれた作品に数多く触れることは、知識や経験の大きな源になると思いました。手塚治虫の初期作品がディズニーの作品から多くの影響を受けたように、異文化の作品のすぐれた点を吸収し理解することは、自分の作品を向上させ、より普遍的なものにすることができると信じています。
山々に囲まれた、美しく静かな場所です。私が住んでいたブラジルの都心部では見られなかった景色です。自然に囲まれての散歩は、安らぎとアイディアに満ちています。
また、私の出身国ブラジルは年中暑く、時期によっては創作に集中できないほどですが、阿蘇は私にとって快適に過ごせる気候です。
すぐれた環境です。いちばんよいのは、さまざまな国から来た、自分とは異なる経験や背景を持つアーティストたちと一緒にいることです。出会うとは思ってもみなかった人たちと対面し、友人となって話すことができるのは、貴重な体験であり、大きな刺激があります。
そして、アイディアや作品に対する、編集者からのフィードバックがしっかりある点もすばらしいと感じます。ブラジルにも編集者はいますが、日本と異なり、こまやかなフィードバックが作家に対して行われることはありません。
設備面でも、アーティストビレッジはすぐれています。最高のデジタル機材、およびアナログツールも提供されます。熊本にいる編集者たちはとても協力的で、いつでも相談にのってくれます。さらに、必要であれば東京の編集者にも簡単にアクセスすることができます。
食事は、プロの料理人が1日に必要な栄養を考えて提供してくれます。メニューも充実しています。また、おにぎりや惣菜類が常備されているため、決められた食事の時間以外にそれらを食べることも可能です。
朝10時から仕事を始めて、だいたい閉館の18時まで施設にいます。昼食と夕食の時間には、さまざまな国から来た他のアーティストと再会し、一緒におしゃべりをしたり、食事をしたりします。とても豊かな経験です。
読者を魅了する作品を描けるように、漫画制作の技術を高めたいです。
移住には勇気と冒険心が必要です。しかし、漫画の仕事に没頭したいのであれば、アーティストビレッジを訪ねることをおすすめします。あなたのキャリアに必要な支援が得られるはずです。ここでは、すべてがあなたのために用意されており、あなたは自分のプロジェクトに集中することができます。
映画『エンジェルサイン』で映像化もされた、
Ichirouさんの作品
漫画家一人ひとりの
生活のリズムに対応して
制作を支えてくれる。
ほかにはない施設です。
熊本県人吉市
出身
28歳
「第1回コアミックス九州国際まんが賞」で入賞したご縁でお声がけいただき、入居しました。同業者で知人のヨリフジさんやのぴやか梢さんが、先にアーティストビレッジにいらしていたので、何回か様子を見におじゃましたことがありました。そして、この環境なら漫画の制作に集中できそうだなと思い、2022年の11月にこちらに来ました。
アトリエには決まった消灯時間がなく、広い作業スペースを漫画家が自由に使えるため、深夜や早朝に描きたいと思ったときにも描けるから助かっています。漫画家一人ひとりに、それぞれの生活のリズムがあるので、どんな人にも対応してくれる施設であることがうれしいです。周囲に騒音がなく、静かなことも集中しやすいです。私の場合、自分の作品制作のほかに、他の漫画家さんのアシスタントをリモートで行なう場合があります。そのアシスタント業務も、ここの環境だとはかどります。
私は作品のネームを描いたら人に見せて意見を聞きたいタイプなので、同業の仲間たちがたくさんいるのはありがたいです。おたがいの作品を磨き合うことにみんな協力的なことは、漫画家に囲まれて仕事ができることのよさだと感じます。また、1階のライブラリーにある資料や漫画も充実していて、自分の好みとは異なるジャンルの知見や作品に触れられることは刺激になります。
ほかにも、食事や生活面に対する施設のフォローが行き届いているので、日常の雑事はほとんどせずに済んでいます。自分でするのは洗濯と掃除くらいかもしれません。漫画に費やせる時間が多く取れることはありがたいです。アーティストビレッジに入居してからは、ほとんどストレスを感じることなく過ごせています。
アーティストビレッジのある阿蘇は自然豊かな観光地でもあるので、週末になると漫画家の仲間や編集者の車に乗せてもらって出かけ、英気を養っています。阿蘇に来てから温泉が好きになりました。
施設の近くに食事できるお店や遊ぶ場所がいっぱいあるのもうれしいです。阿蘇の郷土料理である田楽や、白味噌のだご汁は食べ飽きません。ここから散歩で行ける距離に山羊や牛、馬がいるのが阿蘇の好きなところです。
自分の作品を描くときと、アシスタント業務をするときで異なります。自分の作品を描くときは、アトリエに来てから寝るまでの間は、物語やキャラクターの構想、作画など、何かしら作業しています。気分転換に、1時間くらい散歩したりもします。
アシスタントをするときは、相手の活動時間により一日の過ごし方が決まります。午前10時から始まる朝型のこともあれば、午後や夕方から始まる夜型のこともあります。
毎日必ず行なう始業時のトレーニングは、人体のポーズを30秒で描くことを10回繰り返すこと。ほかに、小説などを10分だけ読むようにしています。それらをすることで、私は創作の世界に入りやすくなります。
よい作品をつくれるよう、漫画家としての成長を絶えずしていきたいです。私は作品に多くのものを詰め込んでしまう傾向があるので、削ぎ落として、少ない要素で多くのことを伝える漫画を描けるようになれたらと思っています。
漫画を描くことに集中するには最適な場所です。あと、阿蘇は山間部なので気温が変わりやすいです。風邪をひかないようお気をつけください。
無類の馬好きである水ポテトさんが描いたタイムスリップアクション『源平合戦転生騎』はこちら
漫画のことだけを考え、
漫画を描くことに専念できる、
夢のような環境です。
熊本県熊本市
出身
作品を投稿した「コアミックス九州国際まんが賞」に入賞したことがご縁で、主催のコアミックスが運営するアーティストビレッジ阿蘇096区にお誘いいただき、22年11月に入居しました。
漫画制作に専念できる場所。そんな夢のような施設が九州の熊本にできると聞き、ワクワクしていました。完成後の2022年春に下見に来たところ、漫画制作に必要な設備や空間の広さはもちろん、住居棟の充実に驚きました。ここで過ごしながら漫画に専念できたらと、入居を決めました。
他の仕事をしながら漫画を描いていた私にとって、これまで体験したことのない、すばらしい環境です。私は高校生のときに漫画を描き始め、漫画賞への投稿やSNSでの作品公開をしていました。けれども、別の仕事をしながら漫画を描くことは、時間の捻出という面でも体力面でも難しく、描きたいのに描けない時期もありました。そんな私にとって、漫画のことだけ考え、漫画を描くことに専念できる環境にいられる喜びは大きいです。
入居前と比べ、創作のための情報や知識をインプットする時間を多く取れるようになりました。それと、阿蘇は市街地のような騒音もなく、「もう描くしかない」というくらい制作に没頭できます。アトリエで一人ひとりに用意されている机は、道具や紙をめいっぱい広げて描けるので、とてもありがたいです。左利きの私が、隣席の人と肘をぶつけないよう気にする必要もありません。
また、私はプロットを作成して編集者に相談し、わかりやすいかわかりにくいかを確かめながら描き進めたいので、同じ場所に編集者がいてすぐ聞けるのは助かります。
住環境には不便はありません。一日漫画を描いたあと、アーティストビレッジの敷地内にある住居棟の自室に戻り、シャワーを浴びていると、アイディアがふっと浮かんできたりします。それをメモしてアトリエに持っていって……ということをしていると、漫画家のための環境だとつくづく思います。
食事は、食堂のスタッフが用意してくれる昼食と夕食がいつも楽しみです。おいしいので食べ過ぎないよう気をつけています。
それと、熊本の阿蘇は自然豊かで景色もよいので、車を走らせるときに気持ちが上向きになり、運転好きな私にとっては楽しいです。それと、秋頃だけですが、早朝にジョウビタキが窓をノックしてくるのでその時期は早起きになりました(笑)。
朝9時頃までには施設2階のアトリエに来ます。朝は、鳥のさえずりも聞こえるほど静かで、集中できます。そのまま夜まで作業することが多いです。
健康であることも、私にとって漫画づくりに欠かせないことなので、長時間座っていることが原因で不調にならないよう、意識して体を動かしています。そのため、ストレッチ体操や筋肉トレーニングなど体を動かす時間は必ずとるようにしています。
漫画をたくさん描いて、多くの人に読んでもらえるようになることが目標です。
漫画を描くのは大変なことですが、お話を考えて絵にしていくおもしろさは、飽きることがありません。もっとうまくなることはできないかと、いつも思っています。
私が以前住んでいた家は同じ熊本県内にあり、この施設まで車で1時間と少しの場所にありました。そのわずかな距離でも、引っ越して暮らすというだけで緊張と迷いがありました。海外からここへ来て暮らすという決断は、とても勇気がいると思います。けれども、ここには漫画家としてのチャンスと創作のエネルギーがあふれています。漫画に専念できる環境は世界にもまれだと思うので、迷っている人には来てみることをおすすめします。
第25回コミックゼノン漫画大賞佳作+審査員特別賞受賞。うさぎの介護をテーマに遊木さんが描いた『愛くるしい骨』はこちら
ここで目にするもの、
耳にするものすべてが、
よい漫画につながる
インスピレーションの源。
ブラジル連邦共和国
出身
日本も日本の漫画も大好きであり、かつ、漫画家として成長するための特別な機会をいただいたと考えたからです。
子どもの頃から漫画好きだった私は、6歳で『ドラゴンボール』『聖闘士星矢』などの日本の作品に触れ、夢中になりました。それがきっかけとなり、14歳のときには友人と漫画を描いていました。
母国のブラジルでは、フリーランスでデザインの仕事をしながら、漫画を描いていました。そんな私の、漫画を仕事にしたいという気持ちと日本への関心の高さを、家族も友人もよく理解してくれていました。そのためコアミックスから声がかかり、日本への移住を決意したとき、周囲が快くサポートしてくれました。
さまざまな漫画を好んで読むので、具体的に好きな日本の作品を挙げるのは難しいですが、『鋼の錬金術師』『無限の住人』『CLAYMORE』を尊敬しています。中でもお気に入りは『るろうに剣心』です。いまブラジルでは、日本の漫画をウェブで読むことができます。
この地域の風景はとても美しいと思いますし、出会った人々も本当に好きです。敬意、思いやり、努力、そしてすぐれたユーモアが日本にはあります。ここで目にするもの、耳にするものすべてが、よい漫画につながるインスピレーションの源。あらゆるものが、私の母国にはないインフォメーションです。たとえば、南アメリカのブラジルと異なり、阿蘇には雪が積もることもそうです。その風景は、新しい漫画を着想するうえでのヒントです。
アトリエには漫画を描くために必要なものがすべてそろっています。また、異なる国籍の人々と、同じ空間で一緒に働くこともおもしろいと感じています。施設の周りには公園があり、それも気に入っています。
そして食べ物も大好きです。寿司、刺し身、うどんなど、ここの食堂で食べる日本食は、わさびも含めて、どれもおいしいです。
飲み物では、アイスコーヒーに驚きました。これはブラジルにはありません。ほかには、自動販売機の飲み物を試すのにワクワクしています。
住居棟はアトリエから徒歩1分の場所で行き来がしやすいですし、暮らしやすい部屋です。特にスライド式のクローゼットがあるのが便利です。
ウェブトゥーンの連載や、新しいオリジナル作品の制作に取り組んでいるので、物語やキャラクターの構想などで毎日がすぐに過ぎていきます。そんな中でも時間をつくっては、アーティストビレッジ周辺を散策したり、予定を組んで漫画家の友人と出かけたり、さまざまなイベントに参加したり、映画を観たり、レストランに食事に行ったりしています。
たくさんの漫画を手がけ、出版することを通して、できるだけ多くの人に感銘を与えたいです。また、日本語を流暢に話すようになれたらと思うため、語学をしっかり学び、日本の文化にますます近づきたいです。
日本の漫画は、その製作手法に特徴があり、それが高い品質を維持するうえで核となっていると思います。それをここで学びながら漫画を描けることは、あなたにとってなによりの喜びとなるはずです。
「サイレントマンガオーディション」第4回準グランプリを獲得した、
Roberto F.さんの作品『PLAY』はこちら
漫画の仕事を
わかり合える仲間がいる。
遠回りしたけれども、
ここに来られて
よかった。
熊本県
熊本市出身
37歳
「コアミックス九州まんが賞」に入賞したご縁で、この施設を運営するコアミックスから、ここを拠点に活動する096k熊本歌劇団を漫画に描く仕事を依頼いただいたからです。歌劇団を取材しながら描くことになるため、同じ空間で過ごしているほうが仕事をしやすいかもと思いました。2020年末にお話をいただいたあと、翌年2月に視察に訪れ、入居を決めました。
実はアーティストビレッジのある場所が町営の温泉施設だった頃、ここに来たことがあります。私は生まれ育ったのは熊本市内なのですが、いまは近所に実家があるため、家族で訪れていました。知らない場所ではなかったことも、入居を決断できた理由かもしれません。4月16日からここで暮らし始めました。
アトリエには個人用の大きな机とデジタル設備があるので、漫画の仕事をしやすい環境と思います。インターネットの通信環境も整っているため、東京にいるコアミックスの編集者とのやりとりも不自由さはありません。
なによりもいいなと思ったのは、同業者が同じ環境にいることです。漫画の仕事は特殊なため、親しい友人であっても理解してもらうのは難しく、孤独です。でもここには、漫画の仕事の機微をわかり合える仲間がいる。そういう環境は、私にはありがたいです。
住居棟も快適です。自室のほかに共有のリビングがあり、高機能の洗濯機や大型テレビ、シャワーが設置されていて、住みやすいです。光熱費も負担せずに済みますので、一人暮らしをしていた頃と比べて生活しやすい環境です。
食事も、ここではプロの料理人が3食用意してくれるので、規則正しく摂ることができます。以前は締め切り前の忙しい時期は食べなかったりしましたが、ここに来て食生活が変わりました。
ふだんは10時くらいにアトリエに来て、仕事を始めます。没頭して描いているので、食事の時間以外は施設が閉まる21時直前まで描いていることが多いです。
休みの日は日用品の買い物に出かけたりして過ごしますが、住居棟の自室で描くこともあります。
あせらず、息の長い活動をできればと思っています。096k熊本歌劇団に関する連載のほか、コアミックスの「月刊コミックゼノン」に読み切り作品を依頼いただきました。ここにいることでいただける機会を大事にしていきたいです。
私はいま、一人暮らしの頃と比べて、お金や生活の心配のない環境で漫画執筆に集中できています。
中学生のときに、同人活動をしている友人に誘われたことが、画材を揃えて漫画を描き始めたきっかけでした。その後も描き続け、いつか漫画を仕事にできればと思っていた私にとって、漫画を依頼してもらえる点でも、幸せな環境です。ここに来るまで遠回りしたけれども、来てよかった。漫画を仕事にしたいと思っている人にすすめたい。そんな魅力的な場所です。
ヨリフジさんの入居の
きっかけとなった連載
漫画づくりを
みんなが
支えてくれる場所。
他ジャンルの
アーティストにも
触発されます。
熊本県
熊本市出身
入居する前は、熊本市内にある「コアミックスまんがラボ」でアルバイトをしながら漫画を描いていました。大学時代から漫画賞への投稿をしていた私に、ラボ開設の広告を見た母がすすめてくれたことがきっかけです。漫画に近いところで働ける上、持ち込みもできる環境に惹かれました。
そこで働いていた2021年1月に、入居についてお声がけいただいたんです。施設の説明を受けて、生活費の心配なく漫画に没頭できるのはいいなと思ったのと、実家を離れて一人暮らしをしてみたい気持ちもあったため、施設とその敷地内にある住居棟の様子を見てみようと2月に下見に訪れました。
阿蘇の高森町にある施設に下見に来てみると、暮らすには申し分のない設備が住居棟には整っていました。一つの棟に6人住める作りで、寝泊りする個室に加え、共有のリビングやシャワー室があります。リビングにある大型テレビや、高機能のドラム式洗濯機が自由に使えるのも便利です。
うれしかったのは、床暖房。私が住んでいた熊本市内に比べ、阿蘇にある高森は気温が低いので、冬から春の寒さに慣れていない私にはありがたいです。
食事は、プロの料理人が栄養を考えて3食用意してくれることに驚きました。ここに入居してからは、おいしくて食欲が増し、太り気味です(笑)。これまで苦手だった食べ物も、おいしいから食べることができており、おかげさまで体調を崩すことなく過ごせています。
漫画を執筆するアトリエは施設の2階にあり、他の机との仕切りもちゃんとあるので、自分の世界に没頭できます。
行き届いているなと思ったのは、自分用に用意してもらった作業用の机が大きいこと。資料を広げて描きたいとき、スペースがあると便利です。原稿を机に置いてインクを乾かしながら別のページにペンを入れることもあるので助かっています。私はいま手描きですが、アトリエにはデジタルの設備が導入されているので、作品や用途に応じてこれから使い分けていこうと思っています。
食事のときや休憩時、1階に下りると、稽古中の劇団員の声や和太鼓の音がレッスン室から聞こえることがあります。それは、私にとって刺激になっています。ジャンルは異なりますが、表現や創作に真剣に取り組む仲間が同じ空間にいることが、自分を励ましてくれる。それはここに入居して活動することで初めてわかったことでした。
朝は7時に起きて、10時にアトリエに来ます。ふだんは夜の9時に閉まるまで漫画を描いていることが多いです。執筆を終えて住居棟に戻ったら、テレビを観たり入浴したりしたあと、夜の11時か12時に寝ます。周囲にあるのはキャンプ場や町営のグラウンドなので、騒音もなく、静かに眠れています。実家にいるときは乱れがちだった一日のリズムも、ここに来てからは整いました。
休みの日は、日用品の買い物に出かけたりして過ごしています。施設には使ってよい自動車や自転車が複数あります。
ここで漫画づくりの腕を磨いて、将来的に作品の連載をすることです。
知らない場所で知らない人と暮らすのは、勇気がいると思います。私もそうでした。けれども、思いきってここに来てみたら、みんなが支えてくれる場所であるとわかりました。編集者さん、施設に常駐してサポートしてくれるスタッフさん、そして劇団員のみなさんが、打ち込める環境を作ってくださっています。
入居したら、かかるお金は日用品代くらいです。家賃や光熱費の支払いもありませんので、生活に関わるあれこれに時間を取られると悩んでしまう私にはぴったりでした。食事も含め、創作に打ち込むための基盤がしっかりしているので、この環境に興味のある方は一度見学にいらしてみませんか?
のぴやか梢さんが投稿し、
第2回コアミックス九州まんが賞
ストーリー部門優秀賞を
受賞した作品
熊本市内の
鶴屋百貨店にある